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魔女の館 (1)
(1) 魔女の館







それはとてもとても深く暗い森の館だった。


まるで見たこともないほど、古めかしい建物だがそれでもアルファの目には美しくも寂しげにそ

そびえたつ城は今まで見たどの景色よりも印象深く映った。


見上げてみて、そっと目を細める。


切れ長の目が、涼しげにその館をじっと眺めた。傍にある植物がそれを取り囲み荒れ果てた庭

はうっそりと静かにそこに在る。




見上げるほど大きなそれを目の前にしてアルファは、微かにため息を吐いた。


予定とは大きく違ったその情景にもはやため息しか出ない。


傍にいた従者が、慌てた様子であたふたと地図を仰ぐが、首を傾げてばかりで明らかに


道を間違ってしまった様子である。






アルファは苛立つ様子もなく静かにその頼りなげな従者を眺めながら、どうするべきかと思考


を巡らせた。


思考を巡らせるといっても、目的地には着くのだろうか。


とひっそりと考えているだけで、全く真剣に悩んでいるわけではない。



その証拠にこの茨の城のようなさびれた館を鑑賞しながら、理知的な容貌とは裏腹に彼にし


ては珍しく小さな好奇心を強め、小さく呟いた。













「まるで、物語の中の世界だね。僕はさながら誘われるようにやってきた・・・ある国の王子


様ってとこかな?」

















小さくくすりと笑うと、微かに目元が穏やかに細まる。



無表情でいれば、冷たげで人を寄せ付けない雰囲気を纏ったアルファの容貌が柔らかく笑み


を浮かべるとわずかだが近寄り難さが薄れてゆく。









戯れの言葉は、小さく従者の耳にも入ったようで、如何反応を返すべきかと困惑した様子で


アルファを見つめた。





主人の戯言に反論できるような身分ではない上に、いつもは済ましたような顔で世界の何処


にも興味がなさげに淡々とした生活を送っていたアルファの意外な一面に戸惑う。






その様子にも全く頓着せず、自分のペースを保ったままのアルファは、地図を片手に困りはて


る従者の青年をちらりとも見ることもなく館の傍へと一歩一歩近づいていく。




そして、呼び鈴らしきからからと軽やかな鈴を少しの躊躇もなくあっけなく鳴らした。













からんからん。音が鳴り響き、城のように聳える館の中へとそれが伝わってゆく。


そうなってしまってから、従者である青年は慌てた様子で主人を引き止めた。












「アルフォール様!!呼び鈴を鳴らしては、この館にお住まいのお方が出てきてしまいます。」




「・・・あぁ。それはそうだろうね?」



当たり前の如く、静かなその声音に困惑は深まるばかり。


地図を見間違えたばかりか、道も半分ほどわからなくなってしまった従者だが焦ることもな


く、落ち着きはらい、それどころか何を思ったのか呼び鈴を鳴らし始めた主人を焦る目で見つ


める。





「ですが、そんなことをしている場合ではないのでは?私の不手際ですが道を間違えたの

ですし言いづらいのですが、急がねばならない約束がおありでは・・・・・・・・・」







従者の言葉にアルファは、顎に手をやりふと考える様子を見せた。だがそれも少し



ばかりですぐに何事もない様子で手を離す。







「どうせ、ただのお茶会だろう。よいよ。


エルデルくんのお望みなら、この館でお茶でもだしていただこうかな。」




冗談とも本気ともつかぬ、アルファの言葉になんともいえない顔をする。




従者の青年エルデルは、一層悲壮な顔で地図を握り締めるが、アルファがそれに頓着する

はずもなかった。








若き伯爵アルフォール・クライン。






大富豪の叔父からすべての遺産を継ぎ、若くして伯爵の名を手に入れた異色の人物。
ただの放蕩貴族とは違い、才能を買われ貿易などの仕事でも優れた才を示す。
それだけでも幸福だと思えるのだが、その容貌もまた優れたものだった。



涼やかな目元に、すらりと高い鼻梁。
全体的に理知的で落ち着いた雰囲気をかもし出す容貌は、社交界でも高い人気を誇る。





さきほどアルファ本人が口にしたように王子と名乗ってもなんら差し障りのない容貌と身分を


持っているのである。



しかし本人に自覚は薄いらしく、自分のことにあまり興味を持ちはしなかった。




それどころか、自分の興味があるもの以外には全く無頓着で、周りの名前すらなかなか


覚えていない。




たまに同じ貴族と接する機会があってもほとんどをのらりくらりと交わしいつの間にか一人で


佇んでいることの多い、不思議な人物であった。












「冗談を言っている場合ですか?・・・・・・・・・冗談ですよね?

どこの誰だかわからない人の住む館にアルフォール様をお連れするわけにはいきません!!

すぐに行きましょう。」



主人を伴おうとするが、アルファは久々に興味をもった景色に夢中であり、ちらりとも目をむけ

ることはない。





徹底した無視ぶりに、さすがに焦れたエルデルが、思わず声を荒げようとした時に高い音が


この辺りに響いた。







呼び鈴の音にそっと耳を傾けていたアルファの手前唐突に大きな門が開いた。



ぎぎぎぎぃと音を立て、門が開き格子の間に見えていた庭がクリアに目に映る。








エルデルの焦りを帯びた顔と好奇を込めたアルファの前に開かれた庭の向こう館からひょこ


りと顔を出す人の影。












「ふ。随分と可愛らしい住人だね。これはお菓子もでるかもしれない。」




「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・何故こんな場所に少女が??」







前者は楽しげに、後者は困惑ぎみに目に捉えた人物を見た後、声を漏らした。










館から現れたのはこんな人里はなれた森の中に似つかわしくはない推定5歳程の可愛らしい


少女だった。














進む>








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【2007/12/07 16:54】 | 中編小説 魔女の館 1 | トラックバック(0) | コメント(0)
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