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魔女の館 (10)
(10)フェンデル




ゆったりとしたいつもの歩調で歩いているのに関わらず、その歩幅の差か隣でちょこちょこ


と早足でついてくる少年の様子に気づいてからアルファは分からぬ程度の自然さで


歩調を落とした。



すると隣の少年は、ほっとしたように息をつき、けれどけして気を緩めることなく隣にぴたりと


ついてくる。少し息が荒いのは、必死でアルファの歩調に合わせて歩いていたからだろう。



どうやら迷子になっている間が余程心細かったのか、アルファの手を握る手にさえ必死さを


感じる。これを逃すともう誰もここから脱出させてもらえないとでも思っているのか、一心不乱


に自分を追ってくる姿にアルファは子供らしい素直さを感じて少し頬を緩めた。





見た目はとても可愛らしく、初めて見つけた時は女の子かとも思ったのだが、口調と一人称から



考えてどうやら違っていたようだった。



容姿から判断すれば、弱弱しく誰かに助けてもらわないと生きていけないような典型的な貴族


の子供タイプかと思っていたが、違っていたようで、もう10分程歩いているのに関わらず、文句


の一つもなく、歩調に関してもアルファが気づくまで何も言わずにひたすらついてくる所からし


ても子供特有の我侭さや貴族特有の傲慢さは欠片も覗えない。




それが、アルファにとっては好印象であり、けれど不思議でもあった。


今回のパーティに出席しているのは、貴族の中でも長い歴史を持つ位の高い貴族ばかりの


はずであり、そんな人物たちの共通点は無駄にプライドが高いところである。


アルファの嫌うその性質は、子供だからと除外されるものでもなく、自然と備わっていく特有さだ


と思っていたのだがアルファの手を握るその少年はそれとはかけ離れたところにいるようだった。


子供ながらにどこか申し訳なさそうにちらちらと覗う姿はとても謙虚で、しかし人見知りの気もある


のか、黙って歩くアルファに何か声をかけようとする仕草を何度か見せたが、何を言えばいいのか


分からずにしゅんと俯く姿は少し可愛い。





あまりにそれを何度か繰り返すものだから、面白くなり、少年に向かってこちらから声をかけて

みることにした。





「僕に何か付いてる?そんなにちらちらと覗われると気になるな。」


行き成り話しかけたせいか、びくりとしてから小動物のような仕草で、素早い反応を返し、


その後であたふたと困ったように慌てる少年が面白くてアルファはつい意地悪く追い詰めて


みた。






「何かいいたいことがあるのならはっきり言って欲しいなぁ。僕は別に不審者ではないし、一応


このパーティの関係者だから何でも質問には答えられるよ。」




すると、今度は焦ったように顔を青ざめさせて、ぶんぶんと首を振った。


「ちがっ、あの僕、不審者だなんて・・・っそんな・・・」


慌てる少年が泣き出しそうな顔でそれを否定するのでアルファはあえてそこをつつく。



「もしかして危ない誘拐犯か何かに見えたとかかな??」



わざと困ったような顔を見せると、少年は元から小さな身体を更にちぢこめて、首を横に振り


ひたすら違うと訴えた。



「あの違う。違うよ。僕・・・そんなこと!!思ってなくて・・・ただ・・」




「ただ?」




人見知りなのか、実際に自分を警戒しているのかアルファには判断しかねたが、ぶるぶる


顔を横へと振る少年の反応が何処か昔の誰かを思い浮かばせて、つい楽しくなった。





「ただ、なんでお花を持っているのかなって・・・聞きたくて・・・」




おそるおそる口を開いた少年にアルファはふと自分の手元の薔薇を見つめた。




「えぇと君の名前は?」



突然名前を聞かれ、少年は思わず目を白黒させるが、素直に答えた。



「フェンデルっ・・」



「フェンデルか。いい名前だね。この花は僕の大事な人へのプレゼントだよ。」




その言葉にほおっとフェンデルと名乗る少年が声を漏らした。



アルファは繋いでいる手を離して、もう片方の怪我のある方の手を差し出すように促す。




「薔薇はね。棘があって、フェンデルの時みたいに人を傷つけたりするでしょう。


けれどそれは自分を守るためなんだ。けして相手を傷つけようとしてあるものじゃあない。


そうだね。この花がぴったりな子にプレゼントするために僕はこれを持っているんだよ。」



フェンデルとおない年ほどの見た目の少女へと思いを馳せつつ、知らず頬の緩むアルファは


薔薇を貰った時のフレアの反応を想像しながら、その時の楽しみを募らせる。



たぶんフレアなら、いつもの無表情で迷惑げに受けとるのだろうけれど、それでもフレアの行動


はアルファにとってはどんなものであれ楽しみなのである。






きょとんとした様子で、こちらを見上げるフェンデルににこりと微笑む。



「フェンデルもきっといつかそんな日がやってくるさ。」


優しく笑いかけ、軽く頭を撫でてやるとフェンデルが「う・・」と小さく唸った。



嫌とも言わずになすがままにされる少年に、言えないだけで、少し鬱陶しいかな?



と思いつつ、アルファはまた歩きだす。



後ろからついてくるフェンデルに迷わぬようにと手を差し出すと今度は、少しの躊躇もなく


手を掴まれた。小さな手が拠り所を探すようにぎゅっと手を握る。





「そうだ、フェンデルはご両親とはぐれてしまったのかい?」




「違うよ。僕、にいさ・・・兄様とはぐれたんだよ。あとね、アル姉様・・・」



「そうか。だったらもう少しだよ。もう出口だから。僕は出口までしか行けないけどそこから


真っ直ぐ行けばすぐに帰れるから。そこまでで大丈夫かい?」



こくりとフェンデルが頷く。


「大丈夫だよ。ごめんなさい。」



申し訳なさげに、しょげるフェンデルにアルファは思わず言った。



「あー駄目。こういう時は謝るものじゃない。」



フェンデルが困った顔で横に傾けると、アルファが諭すとうに呟いた。



「子供はそういう時はありがとうって言えばいいんだよ。」



にっこり笑って、フェンデルをじっと見てやると少年は、やっと分かったようにふと顔を緩めて


子供らしい笑みをアルファに向けると、繋いだ手をぎゅっと握った。



「ありがとう。」



はにかむ笑顔を向けてからは、アルファにすっかり懐いてしまったようで、


それからはぽつりぽつりと会話を交わしながら、2人は出口を目指した。




「僕の兄さんはね、とっても優しいんだ。でも恥ずかしがりさんだからつい意地悪いっちゃう


時もあって・・だから時々酷いこと言われるの。けどね、アル姉さんが言うには好きだから苛め


ちゃうんだから気にしたら駄目だよって。」




「そうか、フェンデルとお兄さんは似てないんだね。一度会って見たいなぁ。


どうもからかいがい・・・・・いや、話しが合いそうだよ。」
















<戻る  進む>


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【2008/08/24 23:39】 | 中編小説 魔女の館 10 | トラックバック(0) | コメント(0)
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