FC2ブログ
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
【--/--/-- --:--】 | スポンサー広告
魔女の館 (6)
(6)一区切りの別れ



目の前の黒猫の姿を、アルファは束の間じっと見やった。

黒曜石のような黒光りする目とかちりと視線が合ったと思うと、覚えのある

ぴりぴりとした威圧感を感じる。

フレアの膝の上、毛を逆立ててこちらを威嚇する黒猫の姿はどう見てもアルファを警戒しており、

手を出そうものなら噛み付かれるどころか噛み千切られそうなほどの殺伐とした雰囲気を放つ。





アルファは数たび、瞬きしながらその様子を観察し、ちくりと痛みを放つ手の甲を傍らの手で押さ

える。目の前の黒猫に引っかかれたのであろう傷からじわりと赤い血が滲む。

それを平淡な様子で見た後、アルファは黒猫に向かってあろうことかにこりと微笑んだ。




「これはこれは。とても可愛らしいお客様だが、もしかして君のペットかい??」


目を向けるのは、フレアの方であり、幼女は困惑した様子でこちらを見返し、アルファの手の甲の

傷へと目を向けた。




「とても綺麗な毛艶だね。僕は結構獣には好かれる達なのだが、どうやらその子には嫌われた

みたいだ。触ってみたいがどうもそんな雰囲気ではないね。」




手の甲からの傷を大して気にした様子もなく、どこか残念そうにアルファが黒猫をちらりと見る。

先刻から全く変わらぬ、警戒ぶりで主人から引き離そうとでもするように威嚇する黒猫をアルファは

少し困った目で見つめた。





「さきほど会ったばかりでここまで嫌われるとは。何か気に入らないことでもしてしまった

かな??」


「そんな悠長なこと言っている場合ですか。アルフォール様。怪我を。」


あまりに行き成りな展開に、動くのが遅れたエルデルが慌ててアルファの腕を捕らえる。


しかしそれをアルファが無造作に叩きおとして、拒んでしまった。


「エルデル君。君、心配しすぎ。このくらいの傷は怪我なんて言わないよ。

かすり傷くらいで慌てられたら、どこかのか弱いお坊ちゃまにでもなったようで背中がむず痒く

なる。こんなのは適当に抑えていれば止まるんだよ。」





エルデルが困惑した様子で主を見ると、困った声で呟く。


「そう言われましても・・・実際、お坊ちゃまじゃないですか。

しかもその傷は後に残ったら、後々面倒です。姉さんに責められるのはわたしなんですから。」




「いい。エリダには僕がきちんと言っておくよ。

これくらい、圧迫しておけば・・・・・・・・・・・・・「ぶつぶつ言わずに処置なさい。」





エルデルになんと言われようが、頑なに拒もうとするアルファに思わぬ場から鋭い声が

放たれた。反射的に声のほうへと目をやると、膝の上に猫を抱いたフレアがいる。




フレアは、静かにこちらを見ながらいい放つと膝の上で寝そべろうとする黒猫をなんの躊躇もなく

膝から振り落とした。



「ふぎゃっ」



なんとも痛々しい声と共に、黒猫がべしゃりと地面へと墜落した。


驚いたようにフレアの行動を見つめるアルファとエルデルを尻目に、フレアは無表情で膝を払った。







多少くらくらと地面の上で揺れた後、猫は怒ったような様子でしっぽをピンと立て、

フレアを見上げる。



何を言っているのかは理解できないが数度にゃーにゃー言ってフレアに文句でも言っている

ようなそぶりを見せた。


しかしフレアはその存在を完全に視界にいれようとはせず、面倒げに黒猫を追い払おうとする。



「全く、どこから入ったのかしら?この野良猫。あんまり可愛くないんで捨てられたの

かもしれないわ。私だったらきっとすぐに捨てているわね。」



辛辣な言葉をあまりに淡々と話すものだから、どこか底冷えする冷たさがフレアの声に

滲む。今まで、かなりの殺気を滲ませアルファを睨み続けていた黒猫がフレアのその

言葉を耳にしてからはいきなりしゅんと縮こまった。



どこかフレアを伺うように見上げては、びくびくとしている様子は先ほどの触ると噛み千切られそう

な黒猫と同一人物、否同一猫とは思えないほど違っていた。









少し間を置き、準備よくエルデルが持っていた薬品によりしぶしぶ手の甲を処置したアルファは

大人しくなった黒猫を目の前に対峙していた。


アルファの傷を手当している間は、悲しげな啼き声を上げながらフレアの足元をちょろちょろし

ていた黒猫だが、フレアから一言「鬱陶しいわ。」

という言葉が出た途端にぴたりと固まり、フレアから少し距離をとった場所でしょんぼりと伏せって

いた。







目の前の黒猫をじっと見るアルファ。

一匹だけぽつんと伏せている黒猫へと自分から近づいてきたアルファを見て、黒猫は尻尾を

逆立てたのは一瞬。


すぐ様、アルファの後方で椅子に座って静かにこちらを見るフレアと目が合い、大人しく寝そべる。




はらはらとこちらを見ては、猫に接近する主人を止めようとするエルデルを無視してアルファは

じっと黒猫を観察した。



初めは無視した様子で、目線を他所に這わせながら、寝そべっていた黒猫も時間が経つ

内に、どこか落ち着かぬ様子で身動きする。



ある程度じっと観察した後、居心地のすこぶる悪そうな黒猫に向かって、アルファは

思いついたように話しかけた。


「もしかして、数刻前に変な視線を感じたんだけどあれは君かな??」


ピクリと耳が不自然に揺れた。


ほーっとアルファが小さく声をあげる。



「なんだかまるで人間みたいなぴりぴりした視線だったんだけどねぇ。

まさかペットの視線だったなんて。」



猫の耳がピクリピクリと二度動いた。



「ちょ、アルフォール様。猫に向かって話すとか。変な人間だと思われますってば。」


焦りながら、主人を引き離そうとするエルデルが「あの違うのですよ。」とフレアに向かって愛想

笑いを浮かべている様子も、現在のアルファの目には入らない。








ただ、黒猫の様子ににんまりと楽しげに口角を上げた。


「なにかあれだね。恋人が他の男と話すのを、嫉妬でもしているみたいな態度だね。」



くすりと笑って、とても小さく猫に囁いたアルファに向かって、さき程まで寝そべっていた黒猫

が思わずざっと立ち上がった。


黒曜石のような美しい目がうろうろと四方八方へと反れ、アルファの視線から逃れようとする。






「ぷ。面白いな。

まるで図星でもさされたような反応。」






くすくす笑いだしたアルファにエルデルは、困惑したような様子。。

逆にフレアは何か険しい顔で、アルファらを見つめた。







「そろそろ、いいかしら。

私、お兄様のお世話があるの。もう十分家も堪能したと思うので帰っていただける?」






フレアが唐突に立ち上がると、アルファに無表情な視線を送ってきた。遠まわしな言い方など

無縁とでもいうようなはっきりとした物言いで、アルファらを帰れと促す。


その言葉に黒猫が嬉しげに尻尾をふりながら、見上げた。







「あぁ、そうだね。そろそろおいとまさせてもらおう。

さすがにこんなに長居してしまうとフレアのお兄様に悪いからね。

そもそもこんなに長くお邪魔するつもりはなかったのだがね。」




エルデルがその言葉にほっと息をつく。



「では、お礼もできずに大変申し訳ないのですがお兄様によろしくお伝えください。」


エルデルが社交辞令のように堅苦しい挨拶の言葉を送り、頭を下げる。

その所作はとても慣れた物腰であり、上流階級付きの従者に似つかわしい動きである。




「では失礼させていただくよ。」

それだけ聞くと、無言のまま引き換えそうとしたフレアに向かって、アルファは何でもないことのよう

な言い回しで、一言付け加えた。







「僕は、アルフォール。しがない貴族の端くれだ。

そうだね。フレアにはアルファと呼んでもらいたい。ではまた後日お邪魔させてもらうよ。」







「!??」

無表情の中に少しの驚きの混じった顔で振り返ったフレアに神々しいくらいの微笑でもって

笑いかけた。


「今度は茶菓子でも持って行こう。

その時にでもその不思議な猫ちゃんの名前も聞くことにするよ。」


「ちょ、ちょっと、アルフォール様!!またってまたって何ですか!!??」


慌てて後を追う、エルデルの必死な声がアルファを追いかけた。




ぽつんと残った、フレアの表情を黒猫は見上げ、苛立たしげに遠のくアルファの背中を睨みつけた。












<戻る  進む>





スポンサーサイト
【2008/03/11 14:25】 | 中編小説 魔女の館 6 | トラックバック(0) | コメント(0)
☆★☆Life★☆☆


主に小説

カウンター

現在の閲覧者数:

ブックマーク♪

★プロフィール

mitu

Author:mitu
★紹介文★

主に小説書きをしていく予定。よろしくお願いします。
管理人 mitu
血液型 O型
学生   

最近の記事+コメント

めにゅ♪

カレンダー

02 | 2008/03 | 04
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -

ブログ内検索

★リンク

このブログをリンクに追加する

★ランキング参加中 ポチっと押してネ♪

FC2ブログランキング

お気に入りサイト

ちょびリッチ

懸賞・小遣い ちょびリッチ ↑わたしの一番お気に入りのサイトです。小遣い稼ぎにGood マクロミルへ登録 ↑アンケートモニターサイトの中ではぴか一。貯まりやすく、アンケートがたくさん届くのがいい。

Lc.ツリーカテゴリー

2択アンケート♪

ランキングLINK

<< にほんブログ村 テレビブログへ にほんブログ村 小説ブログへ にほんブログ村 テレビブログ テレビドラマへ にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説へ 人気ブログランキング【ブログの殿堂】

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

☆★☆

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。