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魔女の館 (11)
(11)密かなる騒動





ざわざわと周囲がざわつき始めるのは、アルテナ・ディアドフィードの存在のせいもあるが、


もう一つは、そのディアドフィードの名をもつ少女に、気安い態度で軽口を叩く、青年のせいで


もあった。


さきほどから、多くの大物貴族に囲まれて淑やかな風体で会話をしていたアルテナを周囲は


持て囃すようにして気を使いながら接したいたのだが、突然何かに気づいたように周囲の波から


離れたかと思うと、アルテナが真っ直ぐに向かったのは、青年の下である。


そうして、どこか砕けた様子で会話を繰り広げる二人の間には、貴族同士の張り巡らされた


壁はなく、アルテナに対する青年の口調は、ディアドフィードに対するには恐れ多いものだと


思われた。




「あいつは何者だ?」


さきほどまで、アルテナの周囲を陣取り、得意げに話しをしていた貴族の一人が少し不機嫌に


そう問いかけると、周りの貴族たちも首を傾げるばかりで誰も青年、エリディアスの身分を知る


者がいない。



ざわつく中、エリディアスとアルテナは周囲を一切関さずに、気安い口調で会話を続けた。






「それはそうと、貴方いったい何処に行っていたの?」



「お前に関係ねえよ。」



むすっとした様子で、そう答えるとアルテナがふ~んとただそれだけ漏らす。



その態度に白々しく目を背けていたエリディアスが尖った口調でアルテナを睨んだ。




「ふ~んっておまえそれだけか。」


「あらだって、別にそんなに詳しく知りたいわけではないし。別にエリディアスのことだから

そこらへんぶらぶらして暇潰してただけでしょ。」



冷たく、言い切るアルテナにむっとしつつ、女に、そもそも自分より年下に振り回されるものかと


あえて、余裕ぶった態度で返答した。


「けっ、なんか分からん男らに囲まれてへらへら笑ってる奴と一緒にいたくなかったんでな。」




そう言いながら、眉間に皴を寄せつつ、そっぽを向くエリディアスにアルテナがさらりと反撃した。




「どうせ、いつものヤキモチでしょ。全く私にも社交辞令があるの。エルにばっかり


付き合ってらんないの。ちょっと男性と話しただけでむすっとされるなんて困ったものだわ。」




はぁっとため息混じりに言われ、さしもエリディアスも大人ぶる余裕がなくなる。



思わずかっとして、否定の言葉を言い募った。



「違うって馬鹿か!俺は年下に興味ねえって言ってんだろ!


だいたいまだ子供のくせに人おちょくんじゃないっての」




思わず怒鳴ると、周囲の貴族らが狼狽や憤怒の声が上がった。





思わずアルテナへの非礼に、近づいていって胸倉を掴もうとした貴族が、エリディアスに掴み


かかる寸前に、その間を奪うようにアルテナがエリディアスの懐へと入った。




「あら、私は年の割りに発達が早いから見た目なら子供だなんて言わせないわ。


だって、近づいただけでほら。エルだって真っ赤よ。」



緩やかに近づいたかと思うと、エリディアスの肩に両手を伸ばす。アルテナは確かに少女と


呼ぶには、成長した豊満な胸にすらりと伸びた手足で、どこか匂い立つような色気が漂う。


首下に絡む腕を、無造作に引き離し、アルテナを遠ざけようとするエリディアスはもしかしたら


勇者と呼べるかもしれない。それほどにアルテナには危険な色香を持っていた。




「ちょ、てめ。エルって呼ぶなって行ってるだろ!やめろ!!


誰だってそんな近づかれたらこうなるんだよ。だから近づくなって!!」







エリディアスの胸倉を掴もうとした男は、出した腕を所在なげに下ろして、ぼおっとアルテナの

色香に酔っている。



アルテナは仕方なさげに腕を下ろすと、関係ない者たちが引っかってしまった色気の放出を


留め、また少女らしい様子で少し頬を膨らませた。






「あーそう。良いわよ。全く、エリディアスにもフェンデルの半分でも可愛さや素直さがあったら


良かったのに・・・・と・・・・・あら?フェンは?」





そこでふと気づいたように少女が首を傾げる。



「は?フェンはお前と一緒だろ?」



顔じゅうに何行ってんだという疑問符を並べたエリディアスにすぅっとアルテナの顔が強張る。



「え?途中でいなくなったから、てっきり貴方といるとばっかり思って・・・・」



「は・・・?俺はずっと一人でぶらぶらしてた。って・・・・おまえいつからだ!!?」



すぅっと青ざめていくアルテナはひたとエリディアスを見つめて言った。



「もうこ一時間程前からよ。」



青い顔で言うアルテナにすかさずエリディアスは踵を返す。



「待って!!私も探すわ。」






着いてくるアルテナを自由にしておいて、とにかくエリディアスは人ごみを探した。



会場中を探し歩いてもなかなか見つからずに、元の場所まで戻ってくると、アルテナも途方もな



さげに立ちすくんでいた。






「いたか?」




ほんの少しの期待にそう問いかけるがアルテナは無言で首を振る。



「駄目。数人に聞いてみたのだけど、誰も見てないって。もしかしたら外に出たのかも・・・」





「じゃあ、俺は外探すぞ。」



私も。というアルテナとともに会場からの出口に向かった。



とても美しい煌びやかなドアを開けると、廊下に出る。入ってくる時は賑やかだった廊下は今は


静かで人通りがほとんどなかった。





「外の地図とかはあるか?」


「持っているわ。招かれた時もらった簡単なものなら。どうしよう。あの子一人でいられる


ような子じゃないのに。もしかしたら何かに巻き込まれたかも。私のせいよ・・」



困惑して、泣き出しそうな顔で言うアルテナの顔はいつもより幼く年相応に見える。



そんなアルテナにエリディアスは思わず、言った。



「つべこべ言わず探すぞ。俺も勝手にうろうろしたんだからお互い様だ。」





そう言って走り出すと、長い廊下を曲がる所で、思わぬ衝撃がきた。



どんっという音とともに、重心を失い思わず後ろに倒れる。




「痛ってぇ・・・・」




すると相手も同じような格好でぶつかった頭を抑えて痛みを堪えていた。








「申し訳ございません。前方不注意でおけがはありませんか?」



エリディアスの目の前でなんとか立ち上がった相手は、すっと自然に手を差し出し、こちらの


様子を覗う。



執事のような姿からして、この屋敷のもの、つまりはアルフォードの者だということが分かった。



しかし、執事にしてはまだ年若くエリディアスとそう年が変わらないように見える。


更にその口調は何処か焦っており、よく見ると額にびっしり汗を掻いている。何処からかずっと走


ってきたようで、こちらへの対応もアルフォードの執事にしては丁寧だとは言い難かった。





「大丈夫?」



後ろから心配げなアルテナの声が聞こえ、エリディアスは頷く。



「大したことはない。こっちも悪かった。」


差し出された手を、断るともう一度頭を下げられ、「失礼致します」という言葉とともに



足早にエリディアスたちがいた、会場の方へと走っていった。










「何かあったのかしら?」


自分達と同じく、焦った様子の執事に不安を覚えるのか、心配げなアルテナに気にするなと


一言おいて、外への廊下を進もうとしたところでぽてぽてと廊下に響く靴音がした。




曲がった廊下の向こうを歩いてくるその音の方へとエリディアスが目を向ける。



そこには見知った顔がいた。






「兄さん!!!!!」



少し泣き出しそうな顔で、エリディアスの姿を認めた瞬間走ってきたその姿に思わず


ほっと安堵の息を吐く。





走りよって、ばふっという音と共に抱きついてきた弟に思わず怒る前にほおっという息が

でた。




「フェン!!良かった無事だったのね。」




後ろで安堵のためにしゃがみこむアルテナがエリディアスと同じくほおっと息を吐く。




「うん、無事だよ。ごめんなさい勝手にいなくなって。」



申し訳なさそうにしゅんと身を縮めるフェンデルにエリディアスの怒る気も失せてしまった。




「ったく、心配させるなよ。何処行ってたんだ?」


困ったように眉を下げて上目遣いに見ていたフェンデルがそう聞かれ、如何してかぱあっと


顔をほころばす。




そうして、このパーティに来た時の緊張による悲壮感漂うような様子とはうって変わって嬉しそう


な顔でこちらを見た。





「あのね、薔薇園で迷ってたんだ。そしたらそこで会ったすごく綺麗なお兄さんに助けて


もらったんだ。えとね、アルファって言って、兄さんと同じくらいの背たけですごく優しい


くしてくれたよ。」




嬉しそうにことの詳細を話すフェンデルに分かった分かったと言いながら話しを聞くエリディアス


は、人見知りの激しい弟が会って少しの相手に気を許したことに珍しいものを感じながら、アル


ファと呼ばれる人物の話しを大人しく聞いてやった。













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【2008/08/25 01:40】 | 中編小説 魔女の館 11 | トラックバック(0) | コメント(0)
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